275人が本棚に入れています
本棚に追加
タッタッ
タッタッ
見事に手入れされた庭には目もくれず,1人の少女が長く続く廊下を走っていた。
「姉上ーッ!!どこです姉上ッ?」
少女の顔にはまだあどけなさが残っている。年は13くらいであろうか。
「本当に…これじゃ埒が明かないッ!!」
そう言って少女は何かをブツブツと唱え始めた。そして両手を複雑に数回組み合わせた途端…
少女の体はフワリと宙に浮き,走っていた時とは比べ物にならないほどのスピードで飛んでいったのである。
服装も先ほどの袴から変わり,まるで天女の羽衣のような、透き通り、光を放っているかのような空色の着物となっていた。
その場に残されたのは,少女が念を使った時に出た霧のみである。
「どこです姉上ーッ!!」
尚も姉を呼び続ける少女。
するとその廊下の先にふらりと現れた袴姿の女性。
「何ですか,千代?」
「姉上ッ!!!」
少女は満面の笑みを浮かべながら,再び廊下に降り立った。
千代の服装が袴に戻った。
最初のコメントを投稿しよう!