1:)光華の姫-

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タッタッ タッタッ 見事に手入れされた庭には目もくれず,1人の少女が長く続く廊下を走っていた。 「姉上ーッ!!どこです姉上ッ?」 少女の顔にはまだあどけなさが残っている。年は13くらいであろうか。 「本当に…これじゃ埒が明かないッ!!」 そう言って少女は何かをブツブツと唱え始めた。そして両手を複雑に数回組み合わせた途端… 少女の体はフワリと宙に浮き,走っていた時とは比べ物にならないほどのスピードで飛んでいったのである。 服装も先ほどの袴から変わり,まるで天女の羽衣のような、透き通り、光を放っているかのような空色の着物となっていた。 その場に残されたのは,少女が念を使った時に出た霧のみである。 「どこです姉上ーッ!!」 尚も姉を呼び続ける少女。 するとその廊下の先にふらりと現れた袴姿の女性。 「何ですか,千代?」 「姉上ッ!!!」 少女は満面の笑みを浮かべながら,再び廊下に降り立った。 千代の服装が袴に戻った。
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