1:)光華の姫-

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「姉上,睦様がいらっしゃいましたよ。」 姉上と呼ばれた袴姿の女性の名は美弥。 つい先日20歳の誕生日を迎えたばかり。 光華王家 継承権第1位 第1王女 美弥姫。 その容姿は見る者を魅了する。 髪は光沢のある黒髪で,真っ直ぐ腰まで延びている。 瞳は黄金色で,それほど大きくはないが、人を惹き付ける目力があった。 スラッと高い身長に,色白の小さな顔。 まさしく「美女」だった。 「もういらしたのですか?相変わらずお気の早い方ですねぇ…。」 そう言って第2王女、妹の千代と微笑み合った。 その姿は芳香がしそうな程美しい。 「それでは、参りましょう?」 美弥が千代に言うと,千代は気まずそうな顔をして姉を見上げた。 「あの…姉上……その…千代も一緒に連れて飛んで下さいませんか?」 もじもじする千代に優しく笑いかける美弥。 「そうでした。千代はまだ上手く飛べないんでしたね。 もちろん、一緒に行きましょうね?」 美弥は妹の千代がかわいくてたまらないのだった。
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