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そんな意味不明な例えが変におかしいので、顔の筋肉がその反応をジャストに捉えだしたか。
誰も見ていないはずなので、抑えることもせずそのまま。
「何、ニヤニヤしてんだよ」
急に暗闇から飛び出してきたのは、ものでなく声。
それもどう聞いたって人間、それも性別にしては低い……なんだ。
明かりの下に立っていたのは見覚えのあるやつだった。
よく講義でも近くの席に座る、茶髪パーマの友達。
だが驚かしてくれる。
あれで僕の心拍数は急激に上がって、痛いぐらい。
ビクッとなったのが丸見えだったのか、そいつはニヤケだしていた。
「そんなことしてると、いつか新聞に載っちゃうんじゃない?」
「へん、笑ったぐらいで載るんならハゲた世の中だよ。ずるむけだ」
負けるワケにはいかない。
必死の抵抗を試みるが、よく考えてみれば意味不明なことを言っている気がする。
その証拠に、あいつは肩を震わせて口を押さえていた。
しかし何故にここに居るのだろうか。
「お前、いつもはバス通学だろう」
「お前もだろ」
腹の立つ返し方。
確かに僕も普段は駅からバスで、こんな道を通って帰ることはない。
だが、今日の講義は実習で、予想以上に終わるのが遅くなってしまったのだ。
仕方がない。
全然内容がわからなく、班の全員で圧倒的なクラクラ感と戦っていたのだから。
「たまにはいいだろ、夜道を一人ブラブラ帰るってのも」
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