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†
身の毛も弥立つような、悪寒。
まるで蛇に睨まれた蛙の蛙。
絶体絶命とは、まさにこの状況のことを言うのでしょうか。
「あ…の~。すいません、私がなにかしましたか…?」
「ああ?!なにかしたかじゃねえだろが!!」
「てめーが余所見して歩いてたせいで、服がびしょびしょになっちまったじゃねえか!!どう責任とってくれんだぁ?あぁ?!」
「えーそんなまさか……」
強面の顔にサングラス。真っ黒なスーツの中には派手な色と柄のシャツ。我が物顔で通りを歩くふてぶてしい外股。
いかにもヤのつく自由業に就いているであろう男たちはサングラスを鼻に引っ掛けて、とある1人の少女にガンつけている。
少女が引きつった笑いを浮かべたまま、さりげなく持っていた鞄で彼らの顔を遠ざけようとして後ろへ後ろへと下がっても、やはり男たちは少女を逃がすことなどするわけがなかった。
まあ、いいカモなのだから。
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