すきだよ。 大鳥

5/9
前へ
/400ページ
次へ
―…あのさぁ。 と言いそれしきり若林は黙る。 見えるのは猫背のせいで丸まった若林の背中だけで、表情はわからない。 俺は無言のまま、次の言葉を待った。 「…あの時さぁ、あれ…。俺熱あったけどさ‥ 熱だけのせいであんなことしたんじゃないから」 最後の方は早口で一気にまくしたて、息が続かなくなったのだろう呼吸が少し荒くなっていた。 熱だけのせいじやない、と心の中で復唱する。 それはつまり若林… ――俺、期待してもいいのか…?
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

536人が本棚に入れています
本棚に追加