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―…あのさぁ。
と言いそれしきり若林は黙る。
見えるのは猫背のせいで丸まった若林の背中だけで、表情はわからない。
俺は無言のまま、次の言葉を待った。
「…あの時さぁ、あれ…。俺熱あったけどさ‥
熱だけのせいであんなことしたんじゃないから」
最後の方は早口で一気にまくしたて、息が続かなくなったのだろう呼吸が少し荒くなっていた。
熱だけのせいじやない、と心の中で復唱する。
それはつまり若林…
――俺、期待してもいいのか…?
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