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歪みそうになる顔を必死でこらえる。
ぐず、と鼻が鳴った。
「―‥夢。」
ぽつりと呟いた。
ん?と春日は言って頭をやわらかく撫でる。
怖かった
とだけ言うと、何も言わずに春日は両手で俺を包んだ。
一定のリズムを刻む春日の心臓の音が聞こえて、心地いい。
泣きたくて心細かった気持ちが薄れていく。
「―なにが夢であったのかはわからないが」
…春日はずっと隣にいますよ。
耳元でそっと囁く春日の声を聞いて、今度は嬉し涙が溢れた。
END
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