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――足音で誰が来たのかわかる。
チャイムもなしにずかずかと俺の家に入りこむ相方。
オフの日は、ひたすら寝ることに尽きる。
日頃の疲れがピークに達していて、今日も若林が来ても目を瞑りそのまま横たわっていた。
不意に顔面が何かで覆われた。
驚いて目を開けると半透明な世界が広がっていて、そればすぐに遠ざかり若林が俺を上から見下ろしているのが見えた。
手にはビニール袋を持っている。
あ、それを顔に置いたのか、と気付いた。
「最後の一個だからって言われて貰った」
ん、と言って袋から取り出したのは、
巨大なりんごあめだった。
朝からやけに外がにぎやかだと思っていたら、近くで夏祭りをやっているらしい。
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