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起き上がってそれを受け取る。
握りこぶしくらいのりんごが割り箸でぶっさしてあり、飴色の水あめがうすく膜を張っている。
「食べていいのか」
と聞くと、
もらっただけだし、と答えにならない返事がかえってきた。
べたつくりんごあめにかぶっているビニールをはずし、ひたすら舐める。
無言で舐めていると、俺の隣に若林があぐらをかいて座った。
じっと俺の舐めるそれを見つめる。
いるか?と言って差しだすと、若林は受け取り早速かじった。
案外水あめの膜はほとんどなくなっていたらしく、
しゃり、とりんごをかじる音がする。
「んっ…まずいよ、これ」
思いのほか渋かったのか、
顔をしかめてりんごあめを俺に返した。
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