つかれたときは 廬山

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車の揺れで、力の入っていない宇治の手がゆらゆら揺れる。 俺は右手を絡めた。 2つの手を見比べる。 宇治の手は細くてきれいだ。 きゅ、と手を握り返されて、俺は宇治の方を見た。 「んー… おはよう菅ちゃん」 まだ眠いのか、俺にもたれかかったまま言う。 「あ、起こしてもた?ごめんなうーじ」 宇治は目をこすっている。 「ええょ、だいぶ楽になったわ」 ありがとう菅ちゃん、そう言って向き直り、俺の首元に顔をうずめてきた。 「え?うじここロケバスやで、うーじ!」 小声ながらも焦ってそう言うと、 おん…と言ってかすかな寝息が再び聞こえてきた。 なんやまた眠ってしもた。 それにしてもこの体勢で寝るってどうなんうーじ? 一人ごこちながらも、宇治の体温が直接伝わりあったかいもので満たされる。 ――大好きやでうーじ。 ぴたりとくっつく恋人に、そう俺は呟いた。 END あとがき→
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