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傷口はドクッドクッと一定のリズムで痛み続け、血がつーと伝った。
春日はその手を掴み人差し指を凝視する。
何してんの、と言おうとすると、春日はぱくっと人差し指を口に含みはじめた。
「うわっ」
突然のことにびっくりして手を引っ込めようとすると、んー…と言って手を離そうとしない。
ちゅぅ、と吸われ、妙な浮遊感に襲われた。
「まずくないの」
そう聞くと
鉄の味がしますよ、と言いまた口に含んだ。
もう血は止まったであろうに、春日は指をひたすら舐める。
吸うのではなく、口を這わせて、それはもう愛撫の域になっていた。
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