優しさは雨の中で 大鳥

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じゃあ帰りますかね、と春日はバサッと傘を開いた。 …なんだこいつ傘持ってたんだ。 ―もうちょっとこのままいたかったな… って春日相手になに思ってんだよ俺。 不意に思ってしまったことを頭の中で拭う。 だが春日はなかなか歩きだそうとしない。 しかも俺の方を見ている。 「なんだよ」 「いや一緒に帰らないのか?」 「だって傘一つしかないじゃん」「二人で入ればいいでしょ」 「…え?」 「春日と相合傘ですよ」 春日は満面の笑みをこちらに向けてくる。 「…やだ」 相合傘なんて恥ずかしすぎる。 「やだってねぇ、あんた小学生じゃないんだから」 それに風邪引くでしょほら、 そう言って俺の腕を掴む。 .
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