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「ん?体調悪いんかお前?」
こつん、と井本の額が俺の額と重なった。
井本の手は俺の頭に添えられている。
「うわぁぁぁ」
条件反射で勢いよく離れてしまった。
近っ、近すぎ。
今のなんやったん?
おでことおでこがごっつんこやで??
「ったく人がせっかく心配してんのに。熱はないで」
ぽんぽん、と俺の頭をなで、井本は楽屋から出ていった。
一人になってしばらく放心状態。
あーもう。
こわいんやけど、実はめっちゃ優しい。
そのギャップがまた可愛い。
もっと好きになってもうた。
額を重ねたさっきの画を頭の中で何度もリピートする。
自然と口角が上がっていく。
「あー自分きっしょい」
両手でがしがしと顔をこする。
日に日に大きくなるこの気持ち。
抑えられなくなる日が近いのを、心のどこかで予感していた。
END
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