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なんやねんいきなり。
一方的に切られた電話に理不尽さを覚えながらも、顔は自然とほころぶのがわかった。
井本に会える。
俺はタクシーを拾って、井本の家へと急いだ。
――ピンポーン
ドアの向こうから井本の足音が聞こえる。
「チャイム押さんくても別によかっ…」
「いのもとぉぉーーー」
井本を見たとたん、俺は抱きついた。
「うわなんやいきなり」
井本は俺を引き剥がそうとするが、負けじと抱きしめる。
「会いたかったよ井本ぉー。
さみしかったよーー」
口に出してから、あ、俺こんなにさみしかったんやって気付いた。
「…ったく苦しいわボケっ」
井本は俺の腕を振り払い、ずんずんと茶の間へ戻っていってしまった。
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