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「ミレさん、それわが社の商品じゃないですか。10倍どころじゃなくなってません?」
10倍どころじゃないと聞いて、ウィルバーは更に真っ青になった。アクスに助けてと視線を向けるが、アクスはそれを素晴らしい笑みで華麗にスルーした。
「えっと…おいくらですか?てかわが社の商品って…」
震えた声でウィルバーが問う。
「あ、自己紹介してませんでしたね。私リオン・ウォルクールと言います。あと、今ミレさんが言ってた種は確か…30000zerだったかしら?」
ウィルバーから血の気が引いた。
理由は2つある。1つは、目の前に座っているのが大手会社ウォルクール社の令嬢であること。
もう1つは種の金額。もはや10倍どころの騒ぎじゃない。
「そうだミレさん!お金払えないなら、彼らを雇ってしまえばいいのでは?」
「彼らって…自分もっすか!?」
アクスにとっては、たちの悪い冗談である。悪いのはウィルバーだけであるのに、そのとばっちりを受けているのだから。
「あら、お友達が困っているのに放っておくのですか?」
容赦なくリオンが問いかける。さっきまでの笑みは消え失せ、アクスもまた、ウィルバー同様真っ青になった。
「なるほど。じゃあ両方雇ってやるか。当然だが、給料はないぞ。」
二人は深く項垂れた。一つ言えることは、相手が悪かった。それだけである。
そんなこんなで雇われたウィルバーと、それに巻き込まれて同じく雇われたアクス。ウィルバーは未だ青ざめて床に手を付いて落ち込んでいる。
アクスは既に諦めたのか、腹をくくったのか知らないが普通にミレスト達と話していた。人生諦めが肝心である。
「なる程。アクスとヘタレ(ウィルバー)は私達に用があったのか。」
「まぁ~…用があったのはウィルバーだけなんですけど…今は無理そうですね。」
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