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「まぁ、何はともあれ早い話しが今あなたに亡くなられては困る……っていうか正直、迷惑なんですよ。てな訳でですねぇ私から一つ提案なんですが生き返って頂けませんかねぇ?」
「…………は?」
突拍子も無い提案に思わず固まる鞠亜。
無理もない、死んだ人間が生き返るなど普通はありえないからだ。
以前、葬式の最中息を吹き返した老人が居たらしいとは聞いたことがあったが、そんな事は本当に極稀な事だろう。
おまけに特有の鉄を含んだ生臭さと暖かい感触で気づいたが自分はトラックが衝突した衝撃で身体の内部も破壊され頭や口から血液が垂れ流れていた筈だ。
しかも僅かなりとはいえ死んでから時間は着実に経過していってるいる筈な訳で。
そんな状態の人間が生き返るなど前代未聞ではないだろうか。
そんな事を頭で巡らせている鞠亜だったが神様は全く気にしていないのだろうか。
にこにこと笑い「あれ、聞こえませんでした?」なんて呑気にも、そんな見当外れの答えを口にしてきた。
とりあえずハッと我に返った鞠亜は、そんな神様に引き攣り笑いを浮かべながら口を開く事にした。
「……や、聞こえたけど認めたくないというか何と言うか」「ああ成程、その許容量の小さい頭では理解出来ませんでしたか」
このアホ神、殺ってやろうか。
そんな物騒な考えが思わず浮かぶが流石に鞠亜も神様は殺せないだろうと口で反論する事にした。
「黙れ、このアホ神」
「アホ神とは失礼ですねぇ……。まぁ、いいです」
「……いいのかよ」
「ええ……今回は大目に見ます。神は寛大なんですよ?……まぁ、ともかく無茶を言うようで何ですが生き返ってください」
「…………」
それはそれはドス黒い微笑みで、自らを神と名乗った青年はハッキリと鞠亜に告げる。
しかも。
「ああ、言っておきますが貴方に拒否権はありませんから」
「…………ありえない」
どうやら神様は無茶を仰せられる事が、お好きらしい。
無茶苦茶神様
(天国が店員オーバーだなんて、聞いたこと無いよ)
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