自覚。

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俺、永瀬広耿。どこにでもいそうな高校二年生。 何事もなく平凡な人生を送っている訳だが、そんな俺にも一つだけ悩みがある。 それは──、 「広、風呂上がったぞ」 「……っ、あに…き……っ!!」 ──実の兄、永瀬一縷に欲情してしまうことである。 「──おっ、おい!そそそんな格好で出てくんなよ!」 タンクトップに短パンという兄貴の姿にどうにかなってしまいそうな俺は、慌てて注意を促した。 兄貴は、キョトンとして目をぱちくりさせる。 もちろんどうにかなってしまいそうというのは、そのままの意味。 ピーがピーしてしまいそうとか言う。 ……襲ってしまおうか。 一瞬そんなヨコシマな考えが頭を過ったが、ブンブンと首を振って散らした。 それを見た兄貴は、不思議そうな顔で俺を見つめる。 「何やってんだ、変な奴。この格好、そんなにおかしいか?」 そう言うと、兄貴はタンクトップの裾を上げた。 咄嗟に見えた白い腹に目が行く。 短パンから伸びるすらりとした足や腹チラに興奮する俺って、変態かもしれない。 けれど、仕方ないのだ。 風呂上がりのせいか、火照って赤みがかかる体。 濡れた栗色の髪。 上気した頬は、赤らんで林檎のよう。 こんな兄貴の醜態を見て、欲情しないわけがない。(普通の弟はしない)
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