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ましてや、最近兄貴は凄く綺麗になった。
前々から綺麗だとは思っていたが、前と比べ物にならない程美貌に磨きがかかっている。
──兄貴相手にこんな事を思うのって、普通じゃないよな。
そうは思うのだけれど、どうしても歯止めが効かないのだ。
「………はあー」
己の変態っぷりに、我ながら溜め息しか出てこない。
兄貴は眉間にシワを寄せ、怪訝そう。
「いちいち細かい奴だな。…分かったよ、着替えてくる」
自分の格好に俺が溜め息を吐いたと思ったのか、兄貴は渋々着替えに二階へ行った。
いや、俺が溜め息を吐いたのは違う理由なんですけどね、ハイ。
いつからこうなってしまったんだろう。
前まで普通に接してきたはずなのに、最近俺は変だ。
いや、最近ではない気もする。
容姿端麗かつ運動も勉強も出来る、一つ年上の兄貴。
昔から褒められるのも、いつも兄貴ばかりだった。
そんな兄を持った俺は、親からも教師からも兄貴と比べられてきた。
けれど……。
兄貴が褒められているのが、自分のことの様に嬉しかったっけ。
「……あれ?もうこの時点でおかしい?」
まず出来の良い兄を持ったら、グレるのが普通じゃね?
前の自分を段々と思い出してきて、冷や汗が浮かんできた。
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