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「セレーナ、お誕生日おめでとう。 お前の好きなユリの花を持って来たよ」
ラ・スタンチェス家の庭で、今朝から何度目になるか分からない祝いの言葉をセレーナは聞いていた。
「ありがとう御座います叔父様。 とても素敵なお花までいただいてしまって」
お礼の言葉を述べてにっこりと微笑む。
この返しも一体何度目か分からない。
自分を祝ってくれているのだが、いい加減に疲れてきた。
「お嬢様、お飲み物をどうぞ」
そんなセレーナを気遣うセリ。
「ありがとう。 あなたは本当に気が利くわね。 家を出るときには一緒に連れていきたいくらい」
セリからグラスを受け取りながら、セレーナは誕生会の会場である庭を見渡す。
「ビアンカとオワリはどうしたのかしら?」
主役のセレーナは挨拶をするため、ビアンカ達より先に庭へ出ていた。
後から直ぐ来ると思っていた妹達の姿を見ていないので、セレーナは先程から気になってしまう。
オワリが土壇場になって出席しないと言い出したのではないか? と。
「ビアンカお嬢様でしたら、お屋敷の中でお客様につかまっておりました。
旦那様が紹介なさったのですが、話が合うようでかれこれ半時-ハントキ-程お話されております」
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