プロローグ

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  俺はその昔、どこかの世界の魔王だった。 一般的に“前世”と呼ばれる記憶を持つ俺だが、それによれば、魔王時代の俺はかなりの変わり者だった。いや、今も不思議な奴とは言われるが、そんなのは足元にも及ばない程。 どこぞのRPGにありがちな魔王vs勇者という展開はご存知だろう。 緊迫した状況、魔王が勝てば世界征服(または破滅)、勇者が勝てば平和になる。そんな大事な戦いだ。 当時、勇者と呼ばれる者は確かに居たし、魔王時代の俺の城にも来た。 しかし、魔王と勇者は親友だった。 いや、過去形では誤解が生じるから言い直す。魔王と勇者は親友だ。それもかなりの仲良し二人組。 最初はきちんと敵として存在し合っていた俺達。だが戦っているうちに何だか意気投合。そのまま親友となり魔王と人間は和解した。世界は平和になった……かと思ったのも束の間、魔王の手下である魔物たちが不満を訴え、魔王を裏切り者としてしまった。 仲間は死なせない信条の俺はまさかの展開に愕然としながらもあっさりと拘束され、処刑が決まった。  
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