プロローグ

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  そして処刑当日。諦めモード全開で逃げる気も反論する気も皆無の魔王、俺。 勇者と仲良くなる前は生き物の命をこれでもかと言う程奪ってきたから、その罰かなぁとか考えていた。だからこのまま処刑されるのは道理に適っているんじゃないかと思った訳だ。   俺は受け入れるつもりだったが、処刑寸前、本当にギリギリに勇者が助けに来た。が、間に合わず魔王の俺諸共、魔物に殺されてしまった。 結果的に勇者の人生は魔王処刑の巻き添えという形で幕を閉じることになってしまったんだ。 現世に生まれ、物心ついたころからそれが俺を苦しめた。俺がしっかり魔物たちを束ねていればこんなことにはならなかったのに、と。 今あの世界はどうなっているんだろうか。気にはなるが戻る術は無い。 “俺”という認識にしても、魔王という肩書きから抜け出せないでいる。魔王の俺が本来の俺だという認識だ。それはもう仕方がないと諦めた。 だって魔王である人生が先だったんだから。  
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