プロローグ

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  小学生になった俺は自分が予知夢を見ることが出来ることを発見した。 そしてもしかしたらと思い、久々に呪文を唱えてみた。すると不思議なことに空気中に魔力の元となる魔素があるのか、微弱ながら発動したのだ。 しかし極めて量が少ないらしく、世界を渡る(次元渡りという)ような大掛かりな事は出来そうになかった。 出来ても物を浮かせたり指先に炎や水を出現させたり、そんなもの。かなりショックだった。魔王ともあろう者が、と。 そんな俺は小学校で運命の出会いをする。否、出会いというよりも“運命の再会”だ。 新しいクラス。新しい勉強内容。しかし保育園の頃に読み書きをマスターし、前世の記憶もある俺はある程度の勉強なら出来るようになっていた。 世界は違えど通ずるものがあったからだ。 だから俺は影で“神童”と呼ばれた。 そんな俺の新しいクラスで、運命の再会を果たす。 教室に入る前、そいつと目が合った瞬間俺は硬直、涙が溢れそうになった。同時に心の中で嬉しさと罪悪感の入り混じるよく解らない感情が渦巻き、きゅっと苦しくなって震える手で胸を押さえた。  
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