第二章 枯れぬ涙

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-佐助Side- 旦那が治らぬ病を知らされてから 毎晩の如く夜中に聴こえてくる旦那の泣き声 必死に声を押し殺しているのだろうけれど 耳のいい俺には聴こえてしまう だけど俺が旦那にしてあげられる事は少なくて せいぜい、 昼間は何事もないように明るくしてても 夜にはこうして誰にも気付かれぬように枕を濡らしてる その事を誰にも言わずに黙って知らぬふりするぐらいしか出来ないんだろう 他に俺に何が出来る? 旦那を慰めに行く? 『大丈夫だよ』 って言いに行くの? そんなの言える訳がない 大丈夫な訳無いんだから 俺なんかが旦那を安心させる事なんて出来ない 涙を止めてあげる事なんて出来ない じゃあ旦那の涙を止めてあげられるのは誰? …―竜の旦那―…? そんなの頼める訳が無い だって真田の旦那が夜に泣くようになったのは 奥州から帰って来てからって事 俺は知ってるんだから きっと旦那の事だから 病気の事なんて何にも言わないで 無理矢理、別れて来たんだろう 自分を悪者にしたんだろう それを俺は分かってるんだから 尚更竜の旦那になんか頼めない 二人はもう逢わない方がいいんだ それが二人にとって きっと一番いい選択肢だろうから きっと..... .
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