第一章 別れ

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城へ着き、 政宗殿の部屋に通された 政宗殿は今日、 俺が城に泊まると思っているのだろうけれど そう長く居るつもりはない だって せっかく決めたこの気持ち、 これ以上政宗殿と一緒に居ると こんなに楽しそうな政宗殿の笑顔を見てると いつ崩れるか分からないから 本当、直ぐに話を済ませて帰ろう 「...政宗殿..」 「ん~?」 「某...もう.政宗殿には逢えませぬ...」 「....は..? ....What?? 何言ってんだ?」 「申し訳ござらぬ...」 「...」 そこから暫くの沈黙 「...なんでだ? それぐらい、 理由ぐらい教えろよ」 「...理由は.. ただ、もう貴殿に逢おうとは思わないからでござる 逢おうとも、恋人であろうとも 思いませぬ ただ...それだけでごさる..」 最低だ 「..な、んだよ..それ..ッ!! 意味分かんねーって! 逢いたくないってなんだよ!!!」 本当、最低以外の何者でもない 政宗殿の目に涙が浮かんでいるのがわかる 「申し訳...ござらん... それでは...もう、某は帰りますので..」 「!!待てよ幸村!!!幸村ぁッ!!!」 拭いてあげたい 抱きしめてあげたい でも駄目だ もう今の自分に、 政宗殿を抱きしめる資格は無いのだから 後ろで自分の名前を呼ぶ 涙混じりの声を 聞こえないふりして歩く 歩くだけじゃ後ろの声は消えなくて 耳を塞いで走った もう 戻れない 戻る事など出来ない 青葉城を出て これ以上無いくらい 全速力で馬を走らせる 途中、生温い何かが頬を伝うのをわかったけれど 気づかぬ振りをして 甲斐への道を急いだ .
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