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包帯を巻いてあげている最中に、彼女は衝撃的な言葉を放った。
「……わたしは、ここから、――この村から、出て行こうと思う」
「えっ!?」
思わず顔を上げていた。
近くにある美しい彼女の顔が、何時にも増して青白く見える。
「わたしももう、限界のようなんだ」
そう呟いた彼女が、凄く疲れているようで。
僕は、
何も、
言えなかった。
それ切り、彼女は来なくなった。
僕は、絶望して何も考えられなかった。
あんなに好きだった月も、見たくなかった。
僕は、深い深い眠りに就いた。
――そして、この世界から、夜が無くなった。
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