空が見た雲

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色んな思い出が私の中に巡った。 「桜…」 「…空に…逢いたい」 無理なことはわかっている。でも私にはもうそれしか言えなかった。逢いたい。空に、逢いたい。 「逢いに行こう」 「…え?」 泣きはらした顔をあげると、翔は私の手を握った。 「空に、逢いに行こう」 翔は私にもう一度そう言うと、私の手を引いて駆け出した。 どこへ連れて行くのか、私にはわからなかった――
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