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「十時です、起きてください。」
「うーん、もうちょっと待って・・・」
「了解しました。」
「うーん・・・ んっ?! もう十二時? なんてこった! どうして起こしてくれなかった?!」
僕は慌てて仮眠用のベッドから飛び起きた。
「博士が待つようにおっしゃったので・・・」
「・・・わかった、悪かったよ。これから僕が寝ているときに『もうちょっと待って』と言ったら、『あと五分』と同じ意味だと思ってくれ。」
「了解しました。」
スーパーコンピューターには、こうやってひとつずつ知識を覚え込ませていく。人間と違って、こいつは一度教えれば理解し、覚える。
それはそうと、今日は大切なミーティングの日だ。十時半からの予定だったから、そろそろ終わる頃だろう。うるさい所長は爆発しているだろうな。『これだから若造は・・・』って、いつもみたいに怒鳴り散らしてるよな、きっと。今から行って所長に怒鳴られるのも嫌だから、行くのはよそう。
「ミーティングはどうしますか?」
「行かない。それより、論文を仕上げよう。」
「了解しました。」
翌日、事件が起こった。
「なんてこった!! おいっ! 返事をしてくれ!」
僕のスーパーコンピューターが停止してしまった。原因は今のところわからない。
「酔ってビールでもかけたんじゃないのか?」
「そんなことしてませんよ所長!」
昨日まではちゃんと動いてたのに。こいつが動かなくなってしまったら、僕は一体どうすればいいんだ? 仕事も論文も、一人で仕上げなきゃならない。
「修理はできるんでしょうか。」
「なんともいえないね、原因がわからないから。おまえの日頃の行いが悪いからこんなことになるんだぞ、昨日はミーティングサボったし・・・」
「それとこれとは関係ないでしょう、そりゃあミーティングに行かなかったのは悪いと思ってますけど。」
とにかく、故障の理由を調べなきゃならない。
「僕が見てみます。原因がわかり次第、報告します。」
「いいや、君は自分の仕事を続けなさい。修理なら、修理者を呼んでやってもらえばいい。」
「・・・わかりました。」
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