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「まただ。何で見えるようになっちゃったんだろう…」
日下綾香【くさかあやか】は最近幽霊が見えるようになっていた。
(泣いてるよ…)
「はぁ」
ため息を尽きながらも泣いている男の子に近寄り、周りに人がいないことを確認してから話し掛ける。
「どうしたの?」
「お姉、ちゃん、僕、のこと、わか、るの?」
泣きながらも男の子は答えた。
「うん、わかるよ。で、何で泣いてるの?」
男の子は涙を拭い泣くのをやめた。
「僕ね、何でか分かんないけど、ここから離れなれないんだ。だからお家に帰れないの。でも、ここを通る人に話し掛けてもみんな僕のこと無視するの。だから寂しくて…」
(まぁ、みんなには見えてないんだから無視するのも当たり前だよね)
「そうなんだ。じゃあ、お姉ちゃんがお話相手になってあげるね」
「本当!?ワ~イ」
それから綾香は男の子の話を2時間近く聞いてあげた。
(あぁ、絶対近所の人私のこと変だと思ってるだろうなぁ。2時間も一人でいるように見えるんだもんな…)
「お姉ちゃん僕の話聞いてくれてありがとね。もう暗いしお姉ちゃんも帰る時間でしょう?」
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