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そんなことを思いながら歩いていると、気がつけば綾香の前には昨日見たのとそっくりな羽が1枚、ゆっくりと降ってきた。これに敏感に反応したのは恭夜だった。
「伏せろ!」
しかし綾香は突然のことで反応できない。恭夜は綾香の両足を掃い無理矢理転ばせた。
「痛っ!急に何なの?」
綾香が倒れた直後、さっきまで綾香の上半身があった場所を風が走った。
「さすが恭夜。でも次は外さないよ」
どこからともなく誰かの声が聞こえる。次の瞬間、恭夜は綾香を急いで抱え、走り出した。
「ちょっと」
(何が起きてるの?それにお姫様抱っこなんて初めてされた)
綾香は今の状況に戸惑いながらも、頬を赤く染めていた。が、すぐに赤から青ヘとかわる。恭夜の背中からは尋常でないほどの血が出ている。
「どうしたのそれ!?」
「悪い、あとで説明するから今は話し掛けないでくれ」
恭夜と出会ってから一番真剣に言っていた。
「追いかけっこだなんて恭夜らしくないじゃないか」
またあの聞こえる。でも、その声の主の姿はいっこうに見えない。
「逃げてばっかじゃ殺しちゃうよ」
その一言のあと恭夜は突然、今走っている方向とは逆の方向へ振り返った。
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