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《ザシュッ》
何かが切れるような、鈍い音が聞こえる。それと同時に赤い物が空を舞った。恭夜の背中には2つ目の新しい傷がついている。綾香はこの光景に思わず叫びそうになる。
「大丈夫。絶対守るから…」
綾香のことを察してか、恭夜がそうつぶやく。その一言で、綾香は叫びそうになる自分を抑えることができた。
「また外しちゃった。残念」
言葉とは裏腹に楽しそうに言う。
「人間なんてどうでもいいじゃん。そんなのほっといて早く本気出してよ」
恭夜は膝を地面につけながら何とか倒れないように堪え、前を睨みつけるように見続けた。すると遂に声の主が恭夜の見ている場所に姿を表した。
「何の用だ。また邪魔をしにきたのか」
恭夜がキレた口調で言う。
「邪魔とは失礼だね。また遊びにきたんじゃないか」
姿を表した血を連想させる赤いショートヘアの男が言う。
(羽に鎌…。あいつも死神…)
綾香は相手が死神であることがすぐにわかった。
「遊びにしては毎回、度が過ぎてるな」
「そうかなぁ…。まぁ、そんなことどうでもいいよ。なんてったって今回はちゃんと勝敗をつけるんだから…」
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