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「何であの人助けてんの?あんたたちがお爺さんを殺すんじゃないの?」
「まだ時間じゃない…」
「え?」
「おい、あれ見てろ。時間だ」
そういわれ綾香は視線をお爺さんの方へ戻す。死神に引っ張られ、倒れたお爺さんが起き上がろうとしていた。が、起き上がっている途中でその動作が止まった。そして、胸を掴み苦しみ始めた。
「え!?どうしたの?」
数秒してお爺さんは倒れた。綾香は急いで駆け寄った。
(うそ、心臓止まってる…)
「これで信じられただろ。さぁ、帰ろうぜ」
「な!何言ってんの!早く救急車呼ばなきゃ」
綾香がそう叫ぶと、お爺さんが倒れたことに驚いていた車やバイクの運転手たちはさらに驚いていた。当たり前である、綾香以外には死神の姿はおろか、声すら聞こえていないのだから。
・・・
その後、お爺さんは救急車が到着し、病院に連れて行かれたが結局助からなかった。
・・・
綾香は外が暗くなってきた時に家に着いた。着くなり電気も点けずにベットに倒れ込んだ。
「制服シワになんぞ」
死神が注意してきたが今の綾香にとって、そんなことどうでもいいことだ。
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