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この世に純粋なものなんて 存在しないというのに、 人はどうして純粋を貴ぶのでしょうか?   純粋なものなんか抱いてしまったら ここには居られない。 なにもかもが 破れて消える。   純粋なものなんか抱いてしまったら ここには居られない。 すべてを傷付けて 無くしてしまうよ。     にごったビー玉を一つ、 私にくださらない? 光は不純物によって角度をかえて、 空に梯子をかけるのよ。   それにのぼって、 空の青の素を採ってくるから。   あなたを汚すわ。 空の青で あなたを汚すわ。   だからここで待ってて。     ついでに雨にまみれて、 歌おうよ。   塵を集めて羽をつくる。 どこへでも行けるように。 そこらじゅうを駆け巡るよ。   そのあいだにも、 雷が命を産み落としている。     そう、 不純物の混じった世界で、 私たちは 産声をあげたんだよ。
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