陰謀

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「佐々木陸将!」 大きな声をあげながら部屋の扉を激しく開き、佐々木が寝ている寝室に三國が凄い剣幕で入ってきた。 「どうしたんだ?」 「南西より複数の目標が接近中、敵の可能性あり。距離3000、数200です」 そうと知った瞬間佐々木は指揮官としての思考がフル回転する。 早朝の光のことなどすでに忘れかけていた。 「こんな山奥にか…数からして観光客ではなさそうだな。ただちに偵察ヘリ2機を現地に飛ばせ。現場の指揮は偵察隊長に委任する。残った兵は駐屯地防衛にまわせ」 彼の自信に溢れた声は間違いなく優秀な指揮官の勇ましい声である。 「了解!」 そう言うと三國は、はじかれたように寝室を出ようとする。 しかし佐々木はまだ伝える事があったのか三國を呼び止めた。 「良いか。発砲は私の許可があるまで禁じる。偵察隊に至っては攻撃を受けても反撃をせずに退却せよ。わかったか?」 「了解!」 再びそう言うと三國はまた、踵を返して寝室を出ていった。 三國が司令室まで長い廊下を走りその場で待機していた通信手に師団長からの命令を直接伝えると通信手は駐屯地全域に響くスピーカーにスイッチを切り替える。 駐屯地内に警報が轟き、マイクに向かって定められたセリフを吐いた。 「総員第一級戦闘配置これは演習ではない!繰り返すこれは演習ではない!」 そのとき佐々木は廊下を一人歩きながら考えていた。 「誰が裏切ったんだ」
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