陰謀

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「オメガ出撃する!」 偵察ヘリ部隊。コールサインオメガの出撃用意は直ぐに終わりたった今、偵察隊長の乗ったOH-1がメインローターを高速回転させながら先頭をきって低空で現地に向かって行った。 遅れてもう一機のOH-1が飛び立っていく。 「オプスよりオメガへ現状報告せよ」 今回の偵察は敵の戦力の把握と駐屯地周辺の状況確認が目的であった。オプスとは司令部のコールサイン。 「こちらオメガ。妙だ辺り一面草原で建物も人も見当たらない」 「オプス了解した。任務を続行せよ」 「いったいどうなってんだ…?」 偵察隊からの連絡がはいると同時に司令室に入室した佐々木は必然的に妙な連絡を受け自然なセリフを言う。 隣にいる三國が佐々木の質問に答えるように言った。 「私にも現状が理解出来ませんが、今は偵察隊からの連絡を待つしかありません…」 「ううむ…市ヶ谷に連絡はできるか?」 その問いに対して少し離れたところにいた隊員が答えた。 「それが、市ヶ谷をはじめ外部の全ての施設との通信が取れません。 唯一連絡が取れるのは内部の無線のみです」 絶望的な事を聞かされた佐々木は腕を組み考える。 質問主と回答主が黙ったため司令室では、しばしの静寂が訪れた。部下達は余りの気まずさに発言できない。タブーとはこのことだ。 そんな呼吸すら遠慮したくなるような静寂を打ち消すように偵察隊からの無線連絡が入る。 「オメガよりオプスへ目標を捕捉。接近を試みる」 「こちらオプス。了解した。十分注意せよ」 偵察隊長であり先導するOH-1の操縦士を務める原田三等陸佐はヘリの窓から敵を視認する。 「なんだこれは…?三木こんなの見たことあるか?」 原田は副操縦席に座る三木に問う。 「いや、こんなの見たことないね」 「何だよ。頼りねぇなぁ」 「うるせぇ」 彼が予想した通りの回答を三木から受けると直ぐ無線で司令部に連絡した。 「オメガよりオプスへ敵を視認状況報告。 敵は槍や弓で武装しており先頭には三頭の馬に乗った兵士が従え、真ん中の派手な鎧を着た者が指揮官と思われる。報告終わり」 非現実的な報告に司令室は沈黙した。
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