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午前6時30分 応接室
偵察ヘリの持つ最大の速力で帰還した彼らは走って応接室に向かう。
一度だけ振り返ると早くも愛機の整備が始められていた。
「よく来たな二人とも、まぁ座りなさい」
佐々木に言われるがまま応接室のパイプ椅子に座った原田と三木はどちらも佐々木を前に緊張しているようだ。
「肩の力を抜きなさい。何も説教をするために呼んだ訳じゃないだからな」
寛大な指揮官は原田達の緊張の糸をほどくためフォローを入れる。
多少の効果があったのか、二人の以上な速さの鼓動は治まった。
二人が緊張する理由はいくつもある。
初の有事出撃に初の被弾。さらに非現実的な状況に加え呼び出し。しかも相手は駐屯地の最高指揮官。
佐々木はそれを理解しつつ問う。
「まず、君たちの報告に誤りは一切ないと断言できるか?」
「はい。一切誤りは有りません」
「では、弓矢や火球で攻撃されたという事は事実なんだな?」
「はい。事実です」
普段は冷静だが、上官を目の前にするとガチガチに固まってしまう三木はまともに話せないため質問は全て原田が答えた。
「わかった。ありがとう。では君たちは兵舎に戻りたまえ次の出撃までゆっくり休むんだぞ」
「はい。失礼しました」
原田達が出ていくのを見届けると佐々木は内線で三國を呼び出す。
「私だ」
「陸将殿どうされましたか?」
「今すぐ参謀を全員集めてくれ会議室で緊急会議を執り行う。君は彼らを召集してくれないか?」
「わかりました」
「ありがとう」
そう言って一方的に内線を切ると会議室に向かう。
扉を開けた廊下の先には、肩の力を抜いた二人の背中が見えた。
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