501人が本棚に入れています
本棚に追加
******
不思議な穴に放り込まれ、頭が捻れるような感覚が俺を襲った。
無論、こんな感覚は初めてだし、こんな穴にも入ったことはない。
よってこの感覚に耐え切れなかった俺はこの感覚が無くなるよう願いながら意識を手放した。
ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ
目が覚めると体は重く、頭痛と目眩が俺を襲った。
そしてなにより腹が妙に痛い。
「…」
朦朧とする意識の中、辺りを見渡し状況把握を試みた。
まず目に入ったのは見知らぬ天井。
次に見知らぬ置物。
どれも見たことのないものばかりだった。
そして俺が異様に注目した物が一つ。
「…剣?」
それは鞘に収まった剣だった。
他にもたくさん、それに似た剣が置いてある。
剣など普通の家には無い。
あったとしても一つや二つぐらいだ。
ここはどこだ?と思い始めたのはやっと意識も覚醒してきたこの時だった。
寝ている体を無理矢理、起こし立ち上がった。
一体ここはどこなんだ…
「起きたか、坊主」
辺りを散策していた俺は突然、声をかけられ驚き、振り返る。
そこには人が居た。
始め剣護かとも思ったが声色が違うし、よく見れば人柄の良さそうな無精髭を生やした、中年男性だった。
その男性の服装は加治屋さんを連想させるような格好で周りにある剣の存在を思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!