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しばらくするとチャイムの音が鳴ったので仕方なく教室に戻る事にした。
席に着くと担任の教師がちょうど入って来たところだった。
「―――ですので、今日一日、頑張ってください」
担任の教師は簡単に話しを区切って朝のホームルームを終了した。
「――であるからして、この解は3となる」
一時限めの数学の授業。
担任の教師が一問一問だらだらと説明している。
その間、俺はというと読書をしている。
そっちの方がくだらない授業より楽しいし、勉強なんて帰ってからすれば問題ない。
「神島。この問題、解いてみろ」
それを見た教師は普段、挙手した者しか指名しないのに読者をしていた俺をわざわざ指名し黒板に答えを書くよう催促してきた。
そして、ニヤニヤとしわだらけの顔をいやらしく歪めながら黒板をジッと見つめる。
どうやら俺を目の敵にしているようだ。
当たり前か。授業中に本なんて読んでいれば、そうなってもなんらおかしくはない。
どうせ、難しい問題なんだろうと黒板を見ながらすくっと立ち上がり黒板にさっさと答えを書き席についた。
「ぐっ、正解だ…」
教師は苦い表情をしながら、悔しそうにさきほど答えた問題の解説をする。
辺りを見ると女子が黄色い声を、男子は憎たらしそうに舌打ちをしている。
やっぱり、くだらない。
こんな時代に生まれてこなければよかった…
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