~第一章『退屈』~

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時間の流れとともに次々と授業が終わり、昼休み。 いつものように購買でパンを買い、近くの自動販売機で飲み物を買った。 一年の始めの頃は弁当を持って来ていたが虐めが始まってから弁当がぐしゃぐしゃにされる事が度々あったので購買で買う事にしたのだ。 今日もいつものように屋上でパンを一人で食べ始める。 はずなのだが… 「また屋上で食べる気!?まったく、寂しい男ね~」 屋上に行く途中、“奴”に出会った。 綺麗な黒髪を纏めてポニーテールにした女子が一人、屋上へと向かうための階段で立ち往生していた。 「なんだよ。別にいいだろ?」 素っ気なく言って、その女子の横を通り越そうとした。 「待ちなさい!!幼なじみのよしみで、一緒に食べてあげてもいいわよ?」 だが彼女がそれを許すわけもなく… 横にずれて、行く手を阻むのだった。 彼女の名前は、雨岡 湊。 湊とは彼女の発言通り幼なじみ。 その優しい瞳は綺麗な黒、見てて飽きない爽快感のある良い瞳だ。 髪も黒く綺麗で、落ち着き払った清楚な雰囲気を醸し出している。 彼女はその見た目やそれに相応しい性格の良さで他人に好かれやすく、学年でも一、二を争うモテっぷりだ。 近寄りがたい感じはまったくなく、子供みたいな無邪気な可愛さを持っている。 だから自然と人が寄ってくるというわけだ。 頭も良く、この前のテストは学年10位以内だったそうだ。  
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