始まり

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「あ、ありがとう…」 「どうしたしまして」 沙希がそう言いながらきれいなお辞儀をする。 「渡辺君…一人で帰るの?」 「あぁ、うん」 「どうして?」 沙希が不思議そうな顔で聞いてくる。 「んー…なんとなく、かな」 本当に理由なんて、言えるはずが会い。 ましてや、初めて話した女子なんかに。 「そうなんだ。校門を出て左?」 沙希が指を左に向けて差す。 「いや、右」 同じように右を向けて差す。 「え、そうなの!?」 「え?」 「あたしも右よ」 そう言い、沙希がニコッと笑った。
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