始まり

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正直なところ、僕は女子から進んで話しかけられたのはこれが初めてだった。 しかも、初対面の女子に。 「それ、なんていう本なの?」 白く透き通ったような肌、肩よりも少し長めの髪。 目もぱっちりとして、小顔。 あ、この人きっとモテてるなー。 それが沙希の第一印象だった。 「…聞いてる?」 「え、あ、もちろん!これは…」 とっさにブックカバーをめくり、題名を沙希に見せる。 「ヒマワリと空…?」 沙希が不思議そうに題名を読む。 「そう。なんか題名だけ見て買ってみたんだ」 「へぇー、そうなんだ。面白い?」 「…まぁまぁかな」 「何それ」 そう言いながら沙希がほほ笑む。 「えーっと…」 「ん?」 「名前…は?」 「あ、あたしの名前?吉田沙希。さんずいに少ないって字と、希望の希だよ」
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