505人が本棚に入れています
本棚に追加
ふむ。
冒頭から怒鳴られてしまった。
これからが思いやられる。
僕はただ教室の隅で座り、読書を楽しんでいただけだ。
誰の迷惑にもなっていないはず。
それなのに、何故今僕は座っていた椅子を蹴飛ばされ、宙を舞っているのだろうか。
いや、原因なんざ探すだけ億劫である。
目の前に腕を組んで仁王立ちしているのだから。
「おい、オタメガネ」
女は言った。
僕は眼鏡を押し上げながら、答える。
「なんでしょう」
「おまえ、その汚い顔に耳はついていないのか、目はついていないのか、口はついていないのか」
なんのことだろう。
僕はあたりを見渡した。
するとなんということでしょう。
今の今まで存在していたはずのクラスメートたちが、制服から体操着へと変貌を遂げていた。
女の指差す方向を向いてやる。
黒板にでかでかと書かれているのは、「次は体育」。
授業変更があったらしい。
最初のコメントを投稿しよう!