つんでれッ!

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  ふむ。 冒頭から怒鳴られてしまった。 これからが思いやられる。 僕はただ教室の隅で座り、読書を楽しんでいただけだ。 誰の迷惑にもなっていないはず。 それなのに、何故今僕は座っていた椅子を蹴飛ばされ、宙を舞っているのだろうか。 いや、原因なんざ探すだけ億劫である。 目の前に腕を組んで仁王立ちしているのだから。 「おい、オタメガネ」 女は言った。 僕は眼鏡を押し上げながら、答える。 「なんでしょう」 「おまえ、その汚い顔に耳はついていないのか、目はついていないのか、口はついていないのか」 なんのことだろう。 僕はあたりを見渡した。 するとなんということでしょう。 今の今まで存在していたはずのクラスメートたちが、制服から体操着へと変貌を遂げていた。 女の指差す方向を向いてやる。 黒板にでかでかと書かれているのは、「次は体育」。 授業変更があったらしい。
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