…ずぶぬれ…

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今夜は雨が降っている… 君を失ったあの日のように… 横なぐりの雨は切ないくらい窓ガラスを叩く そして僕の固く閉ざした心をノックする 思い出したくないのに… とっくに封印したはずなのに… こんな雨の夜には 悲しいあの夜を思い出す どしゃ降りの雨のあの夜に 僕は君の置き手紙を見つけた 書かれていたのは 「ごめんなさい」 ただその6文字… 僕は傘もささず どしゃ降りの中を 夢中で君を探しまわった ずぶぬれになって 歩きまわって 狂ったように君を探した どこを探しても もう君は見つからない どうして君の心変わりに気付かなかったんだろう… ずぶぬれの僕は 電信柱の下に 捨て猫のようにうずくまり ただ雨に打たれて… ただ雨に打たれて… 泣いていることさえ 気付かずにいた あの夜から僕は 空っぽの心を抱えて ぬけ殻のように生きている もう僕は ひとりぼっちに 慣れっこになってしまった…
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