‐エピローグ‐

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手を伸ばした。 叫んでいた。 涙で視界も霞み、彼女の顔もよく見えなかった。 俺は無力だった。 恨んださ、自分の無力を。彼女の運命を。 俺は叫び続けた。 無意識に、がむしゃらに。ただ、それしかできなかった。 一番見たい彼女の姿が涙で見えない。 それでも……、それなのに……。 彼女が最後に、涙を流しながら困ったように笑っていたのだけは、鮮明に頭の中に浮かんだ。 これはエピローグ。 彼と彼女の物語は終わった。 バッドエンド――つまらない結末。 それならば、書き変えろ。 自分の人生を、自らの力で。 用意されたつまらない結末など変えてやれ。 彼と彼女の物語は終わった。 彼は終わらせたくなかった。 だから彼は一歩踏み出した。 「書き変えてやるよ。俺が望む結末(みらい)へな」 青年は、剣を抜き去った。 .
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