‐終わりの始まり‐

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日の暮れた街。 優しい月光に照らされる、すこし寂れた街道。 街灯がぽつぽつとつき始め、昼とは違う表情を覗かせ始める頃。 夜の時間に人が集まる憩いの場。そんな場所の一つ――酒場。 昼間、仕事に精を出した男達がその疲れを癒す場所。 そこへの一人の来客に、中にいた客達は一瞬固まった後、その酔いで赤くなった顔を弛ませた。 「マスター?話を聞きたいのだけど」 長く腰まである、蒼く真っ直ぐな髪をなびかせ、席につく。 雪のような肌に大きな切れ長の瞳に、みずみずしい唇。 比較的軽装の白い防具を身に纏い、腰についたヒラヒラの薄緑の布が、女性らしさを演出していた。 防具の下のホットパンツやタンクトップから覗く白く細い腕と太ももに、中にいた男達はその顔を更にだらしなくさせた。 「情報?どんなのが聞きたいんだい? 髪をしっかりと纏めた中年の店主が、グラスをふきながら尋ねる。 「あ、一番アルコールが低いのを頂戴。 欲しいのは……」 「おぉっと姉ちゃん。何か知りたい事があるんなら俺達が教えてやるぜ」 女の話に割り込んできたのは、体格のよいヒゲ面の男三人。 男の一人が女の肩に腕を回し、その酒臭い顔を近づけてくる。
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