‐終わりの始まり‐

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男は、弾かれるようにして飛んでいった。 それはもう気持ち良いくらいに。 周りの客は唖然とし、仲間の男も顎が外れるほど驚愕している。 店主は、吹き飛んだ男が激突し、壊れてしまった備品の損害に顔を青くし、フラリとカウンターへと倒れ込んだ。 女は、白銀の髪の男をキラキラした瞳で見つめていた。 「まだやるか?」 青年が睨みを効かせ、残った男に問う。 二人は首をもげるほどの勢いで左右に振った。 青年はため息をつくと、カウンターへと寄って行った。 「マスター悪い。これ壊れたテーブルやらの修理代……って、気絶してんのか。ここ置いとくぞ」 青年はカウンターの上に金を、置き、座っていた席に立てかけていた細長い布袋を背負うと店を出て行った。 客達はしばらく固まっていたが、我に返ると、先程の事を一斉に話し始め、店内は一気にうるさくなった。 しかし女は、そんな喧騒など耳に入らず、未だ青年が出て行った扉を見つめる。 その顔はとても嬉しそうだった。 「あの子……、いいかも」 女は、絡まれる前に出された酒を一気に流し込み、代金をカウンターへ置くと、足早に店を出て行った。
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