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女は店を出ると、キョロキョロと左右に広がる道を眺める。
そして、お目当ての人影を見つけると、その人影に向かい駆けて行った。
「ねぇ、君!」
「ん?」
青年が振り返る。
先程は良く見ていなかったが、良く見れば顔もわりと整っているようで、女のテンションは更に上がった。
「さっきはありがとう。助けてくれて」
「あぁ、さっきのって酒場の?
あれは別に助けたわけじゃなくて、ただ単にあいつらが気にいら……」
「私、あなたにお礼がしたいの!」
「っておい、話聞いてないだろあんた」
青年が呆れたようにため息をつく。しかし女は青年の腕を掴むと、ぐいぐい引っ張っていく。
「さ、行きましょ!さっきはゆっくり出来なかったから、どっかでご飯食べよう?」
「あ、おい!俺はさっき飯食ったぞ!」
「私は食べてないのよ」
「えぇー……?」
にこにこと青年の腕を引っ張る女に、青年は抵抗する元気すら失い、なすがままに引き摺られていった。
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