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青年と女は今、テーブルを挟んで向かい合うように座っていた。
テーブルには様々な料理が並び、シックな雰囲気の店内は、なかなか繁盛しているらしく、他の客も大勢来ていた。
「わっ、美味しい。ここ当たりだったわね」
「なぁ……」
「ん?なぁに?」
美味しそうに料理を頬張る女を、頬杖をつきながら眺める青年。
青年は疲れた口調で言った。
「お礼ってわりにはあんたしか食べてないよな……」
「あら、あなたも食べていいのよ?
はい、あーん」
「やめぃ」
フォークに刺さった肉を青年に向ける女。だが、青年はフォークを奪うと逆に女の口にそれを放り込んだ。
「なかなか大胆ッ」
「あんた、疲れる」
照れたように両手を頬に当てる女を見て、青年は机に突っ伏した。
「あらら、ごめんね。まぁ、ひとまず自己紹介しましょうか。
私はレフィーナ。
レフィーナ=クールミントよ」
女――レフィーナは、蒼い髪を揺らし、柔らかく微笑んだ。
青年は顔を上げると、ぽりぽりと頭をかきながら呟いた。
「レイン……、レイン=ノーベルト」
青年――レインはそう言うと、レフィーナの綺麗な蒼い瞳を見つめた。
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