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「なんじゃ…聞いておらなんだか…もう一度言おう輿入れするのは類、おぬしじゃ…だから類とは会えなくなると思い淋しがっているのじゃ…」
「そ…そんな…そんな事して相手はどうなるのよっ!」
「類…おぬしは聞いておらぬのかえ?私が嫁ぐ夫は尾張の大うつけ者よ…そんなうつけが顔を見た事もない私とおぬしの区別を付けれる筈が無かろう…どうせあのうつけの地は我が義兄上様のものとなる…わざわざ私があのような汚らわしい土地に行かずとも良い…」
「な…」
「だから…身元も解らぬおぬしを可愛がってきたまで…父上は誠に慈しんでおったか知れぬが私と義兄様その為の駒としとおぬしと愛しんでいただけの事…」
「い、嫌よ!だって顔も解らないのに行くなんて…自分の結婚何だから自分で責任取りなさ…!」
類は最後まで言い返せなかったのだ…何故かと言えば帰蝶に叩かれていたからだ
「黙りなさい…下賎で卑しい女が…姫である私の元に侍り着物を与えられつかの間の愛を得られたのだから文句を言いでありません!おぬしには頼んでおらぬ!これは命令じゃ!」
「いやっいやーーッ!!」
帰蝶の言葉に最後の足掻きで逃げようとすれば武装した召し使いに簡単に捕まってしまい輿入れの日まで閉じ込められたのだ…
そしてその日…私は無理矢理変な薬を飲まされ襲い掛かる眠気の中嘲笑う帰蝶は「せいぜいうつけの殿としばしの幸を育んでおるが良い…」と言う言葉を聞かないか聞くかの内に眠ってしまい…今日輿が尾張へと向かっていったのだった…
めぐるめぐる
私はどこまでめぐるの?
それはまるで
誘う蝶のように…
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