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「じゃあ…そろそろ帰るね…」
椅子から立ち上がって身支度を始める秀子
『うん…今日は有難うね…』
「気にしないでよ…早く良くなって学校へきてね…そしたら帰りとかいっぱい寄り道して遊ぼ…」
とニコリと優しげな笑みを浮かべて言う秀子に例え慰めだといえ嬉しさが込み上げてくるのだった…
そして…秀子が立ち上がり扉のドアノブに手をかけた瞬間であった…
『うッ…っく…ッ!』
急に襲い掛かってきた痛みに類は胸を抑え痛がる…その様子に気付いた秀子は「類ッ!」と類の側に寄り慌ててナースコールのボタンを押すのだった…
――類――
『え…?』
――来い…早く来い…俺の元へ…――
『誰…?』
頭に鳴り響く男の声…類は訳が解らず痛む胸を抑えながら不思議そうに辺りを見回す…秀子が心配そうに名を呼びかける様子に『さっきの声は…?』と問い掛ける前に秀子の顔がぐにゃりと歪むのだった…
――…貴方が…そうなのですね…お会いしたかったです…――
誰…?
――おいで…俺の元へ…――
だから…貴方は?
――……俺の蝶よ…――
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