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「待つんだ青木昴…君に見せたいものがあるんだ」
地面に這いつくばり、必死に私に向かって手を伸ばす阿部。
そしてごそごそと懐をあさり、小さな箱を差し出した。
「これを君に渡したくて…僕はただその一心でここに来たんだ」
私はそっとその箱を受け取り蓋を開けた。
中には綺麗な緑色に輝く指輪。あまりの美しさに吸い込まれてしまいそうなほど、その指輪に私は魅力された。
「僕と…結婚して下さい」
私は小さく頷き、箱の中から指輪を取り出して、左手の薬指に付けると見せかけて遥か彼方へとその指輪を投げ飛ばす。
「いいか阿部、お前に言いたいことが3つある。まず1つ、気持ち悪いんだよ。そして2つ、順序を間違え過ぎだ。最後に3つ、気持ち悪いんだよ。わかったらさっさと帰れエロ単細胞」
「…照れ屋さんだな青木昴。しょうがない、日を改めてまた頼むことにしよう。アディオス、僕だけのお姫様」
その瞬間全ての皮膚に鳥肌が立ち、今まで味わったことのないような悪寒が全身を駆け巡る。
阿部諭、死ねばいいのに。
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