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「はがっ!? ひゃなが──びょく……のひゃ…な……………!?」
ろれつの回らない喋り方で呻いた田中は、止まらない鼻と口からの流血を両手で抑え、数十秒後に失神した。
その惨めな姿に、無概は思わず言い様の無い笑みを浮かべ、口と鼻を抑える田中の両手を掴み、無理矢理に素顔を暴き覗き込んだ。
「……はっ、大丈夫そうだな」
たかだがこれぐらいで失神ですか────まあ、所詮人間なんてこんなもんですがね…………
失神した田中にため息を吐きながら、無概はアスファルトの地面に無造作に落下したサバイバルナイフとスタンガンを道路の隅にと蹴飛ばす。
バシャン、とドブ底に落水する二つの凶器、これならさすがに意識が戻っても再びこのような強行も出来ないだろう。
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